おいしいお茶は組合員の結束力から
今年も新茶がはじまったと思っていたら、秋冬番茶を残して、生産がほぼ終了したところです。ひと段落しているこの時期、茶業に携わる方々をお訪ねして、皆様にご紹介していきます。
今回は、1972年創業の菊永茶生産組合、菊永明彦組合長にお話をお伺いしました。
組合設立前の1954年、お茶づくりはまず紅茶から始まり、その後、緑茶生産に転換、生産性を高めるため1975年から半条型乗用摘採機、1980年から一条型乗用摘採機を導入し、大型摘採機による生産の実現のため、その改良に貢献されてきました。お話を伺って一番感じたことは、おいしい安全なお茶づくりは、現在34名の組合員の皆さんとご家族の強い団結力によるものということです。組合の茶畑は、温暖多雨の標高60~120mにあり、茶葉の酸化を少しでも防ぎ、鮮度のよい原料にするためのこだわりとして、すべて工場から3.5キロ以内と定めています。また茶園での作業は組合員それぞれの茶園で行われているというわけではなく、協力して行われ、雇用面では年齢、性別に関係なく待遇は同等で、女性も茶園での被覆作業やパッケージのデザインをされるなど、活躍されているそうです。現在、食の安全や環境保全などに取り組む農場に対する認証制度JGAPとG–GAPを取得されていますが、これは食品偽装が社会問題になった頃、組合員の方から認証を取得しようという声があがり、より団結力が強くなったとのことです。さまざまな品種、紅茶、抹茶の原料の碾茶、CTC緑茶、萎凋香緑茶など、海外も意識した多様なお茶づくりに取り組まれていて、「お茶を飲んでくださった方から、おいしいと言われることが何よりうれしい」と、菊永組合長。お客様へのメッセージをお伺いしたところ、「ぜひ新茶、一番茶を味わっていただきたい」とのことでした。現代は手軽に飲めるお茶が求められてはいますが、「秋冬番茶以降、6か月間茶摘みをせず、寒さに耐え、栄養分を蓄えた新茶の味を消費者の方にはぜひ味わっていただきたい」そうです。4月末から5月にかけての新茶シーズン、買い損ねてしまう方も多いとは思いますが、来年は一味違う、この爽やかな旨味のある新茶の味を、ぜひお試しいただきたいと思います。